福島原発事故 その4

(資料1)福島民報より転載
2011-03-18 15:36
県、安定ヨウ素剤の回収指示 三春町ではすでに服用
http://minpomedical.jp/fukushima/disp.html?id=78
 福島県は17日までに、放射能健康被害を防ぐ内服薬「安定ヨウ素剤」を住民に配った三春町に対して回収を指示した。安定ヨウ素剤原子力災害対策特別措置法に基づき、国の指示が出てから住民に配布する。町は「住民はすでに服用しており、回収できない」としている。県によると、安定ヨウ素剤配布の国からの指示は出ていない。現段階では、県は一部の自治体に備蓄用として配っている。
 町は14日に県から安定ヨウ素剤を入手。福島第一原発の爆発事故などを受け、専門家の意見を聞いた上で15日に配った。町は「県が放射能の測定調査の数値を公表していない段階だった。放射能の状況が分からない中、町民の命を守るために配布を決断した」としている。


この福島民報の記事(資料1)を読んで、「どうして町民に渡したヨウ素剤を回収をしなければいけないのか」という疑問が浮かんだ。
(資料2)にあるように、ヨウ素剤は24時間前から2時間後なら80%の放射性ヨウ素の吸収を阻止できる。
等価線量が100mSvになる直前にヨウ素を配るのではヨウ素を手にすることが間に合わない人もいるのではないかと思う。


(資料2)崎山比早子氏(元放射線医学総合研究所主任研究官)原子力資料室
     http://www.ustream.tv/recorded/13445993   
     http://www.ustream.tv/recorded/13446685

     先日(3/27)に載せた私のブログの崎山比早子氏の最初の動画のスライド
       ヨウ素剤のはいつ飲むのが効果的?
         24時間前から同時、93%阻止
         2時間後、80%阻止
         8時間以降、40%阻止
         24時間後、7%阻止

       配布基準
         等価線量が100mSvになると予測されたとき(日本やフランス)
         ちなみに、動画の中で、WHOでは子供に対して10mSv。日本の値は大人や子供の区別無く均一で100mSvとのこと。


                                                                                                                                                                  • -

ある日のエピソード。
先日、私の勤めている病院でこんなことがあった。
3月11日の14:46前と後では検査データの変化が見られたものがあった。
「これを基に学会発表でもするか。」「それじゃ、その日の別の人のデータを集めなくっちゃ!」なんて話になった。

                                                                                                                                                                  • -

こんなことを考え合わせると、御用学者は、ヨウ素剤を飲んでないより混じりけの無い状態の人間の臨床サンプルが欲しいのではないかと、考えたくないがそっちのほうにどうしても私の想像力はいってしまう。

原発関連、放射線関連の学者にしてみれば、またとない絶好のチャンスでしょう。サンプルが多ければ多いほど、信頼性の高いデータが得られる。
テレビに出てくる原発推進派の学者たちにとっては、原発が飯の種になっていて、東電をフォローすることが自分たちの身を守ることになる。政府も住民がパニックにならないようにという必要以上の配慮は、住民の命を脅かすことになるではないかと思う。

「国民の命を守る」ために、原発の機能回復をめざし原発作業者の数値を引き上げて現場で作業させていることも悩ましいですが、
医師や放射線の専門家が一般の人々への影響(健康)を軽視するようなことはあってはならないと思います。

学会での名声、東電や自身の保身のために、地元住民、国民に対しテレビで解説するのは止めてほしい。

どうかこの私の想像(人体実験なのではないかという疑念)が間違っていてほしいと願っています。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


(資料3)の動画の中で、100μSvまで測れる検知器は振り切れ、1000μSvまでの検知器(=1mSv)も振り切れたと言っていた。
(資料4)放射性物質が漏れたとき、一般人が1年間に被曝しても大丈夫な量は、法律と武田邦彦先生は1mSv、解説者は100mSvとなっています。
(資料2)の動画の中で、2004年に1mSv(細胞に1本の放射線が通る量)で細胞に傷害するとの報告があり、その後変更の報告は無いとのこと。
(資料2)のスライドの中で、100〜250mSvでリンパ球や白血球の一時的な減少が見られる量。


これらを考え合わせると、細胞に1本の放射線が通る量(1mSv)で細胞に傷害があるから、傷害が出ないようにそれより放射線の量を少なくしようと考えるか、100mSvで肉体的に変化が出るところを基準にするかの違いだということがわかりました。
しかし、子供や妊婦、病人、体質に放射線に感受性のある人は100mSvよりもっと少ない線量で変化がみられるでしょう。
それぞれの見方・立場によって、考え方は変わる。献身的な原発の作業をしている人たちが1mSvでは、作業はできない。
だから、一般の人々の基準値と原発作業者との基準値を分けたほうがいいのでは、と思います。


政府の周りにいる学者は原発推進派。政府も保障問題を取りざたされたくないから、強制立ち退きでなく自主非難にしているようにも見えます。
だから、学者、専門家と呼ばれる人々のルートからは、東電を擁護するような言葉は出てきても、国民の健康を本当の意味で守るような発言は出てこないのではないか。
だとしたら、別のルートで国民の声を反原発寄りの政党・政治家から、政府に進言してもらうしかないのではと考えます。

強制立ち退きとなれば、保障という話が出てくるでしょう。しかし、今は人命を守ることが最優先されるべきじゃないでしょうか。
自分で動ける人は、その場を離れることができますが、
介護の必要な人、病人、寝たきりで動けない人々とその介護者、看護者を少しでも安全なところへ連れ出すには、政府の判断で自衛隊に協力してもらうしかないと思います。
その受け入れ先として、閉鎖した病院を使うことができないだろうか。 そこなら医療や介護の手が入りやすいのではないかと思います。


福島原発周辺に住む農業酪農漁業を営む方々は土地を離れると食べていく糧が無くなってしまいます。
しかし、福島原発が落ち着くまでには相当の時間を要するでしょう。東電にはそういう方々の保障をしっかりやってほしいです。




(資料3)広瀬隆広河隆一福島原発現地報告と『原発震災』の真実」 の動画の中で
     http://www.youtube.com/watch?v=3UXtyqdGgmI
     この中で、チェルノブイリでは0から4歳までの子供(放射性ヨウ素の吸収が大きく早い)で、4、5年後、小児の甲状腺ガンが多発したと言ってました。



(資料4)武田邦彦先生 (中部大学) 〜私のブログ 3/27 2番目の動画の先生
     生活と原子力02   1ミリ、100ミリ、「直ちに」の差は?
     http://takedanet.com/2011/04/1100_863e.html