電車の中

ここ数年の生き難さはどこからくるのか。
通勤電車の中、扉が閉まる直前に乗り込んできた男子学生。その時押し込まれた50代位のサラリーマンと口論に。周りの人々は、早く終わらないかなと思いながらその様子を無視している。私もその中の一人で、口論がエスカレートしないか、見ないようにしてドキドキしながら早く口論が終わることを願っている。そんな場面に出くわすと、自分でもわかるくらいストレスがかかっている。

今日の朝、出勤で乗った電車で、私の目の前に立っていた30代か40代の男性の頬に擦り傷、頬骨が少し腫れているようだった。そしてもう一人、私の斜め前に座っている30代か40代のサラリーマン。マスクはしているけど、右目は青アザが出来ている。
私の目の前に2人もそんな人がいるなんて…日本人の心が干上がっていると感じた。


去年の秋、こんなことがあった。台風で千葉から東京に向かう電車が止まってしまい、普段とは違う路線を使って出勤した時の話。
定員180%オーバーかと思う位の電車の中。私は吊革の前には立っていたが、押されて窓ガラスに手をついていた。何回となく揺れる度に前に座っている男性の膝が私の膝に当たって痛い。おそらくその男性も膝が当たって痛いだろう。
申し訳なく思い、「すみません。」と誤った。「川にかかる鉄橋の風速が基準値を超えたので風がおさまるまで一時停止します。」と車内放送が流れた。そのとき私を見かねてその男性は私に席を譲ってくれた。電車の揺れで後ろから押されると、窓ガラスが破れてしまうのではないかと思うくらい腕はプルプルと震え自分の体を支えるので必死だった。私はありがたく座らせてもらい、私は次の駅でお礼を言って降りた。
電車に乗っている人々は皆、ギューギュー詰めで圧迫感を感じながら、我慢していたと思う。私はこの人のお陰で、一緒に乗っている乗客を「この困難な状況を共有する仲間」と思え、なんとなく心の中に温かいものを感じ嬉しくなった。

多くの人が今の日本に閉塞感を感じている。感情の赴くまま怒ったりするより、ちょっとの思いやりが、人の心を温かくしたり、優しくしたり、ちょっぴり幸せな気分にしてくれる。
みんなが少しずつ思いやりのある行動をしたら、きっと幸せな国・日本になるんじゃないかな・・・と思う。